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昔から、喜多方には良質な地下水・米・麦・大豆の産出に恵まれ 酒・味噌・醤油・油などの醸造業が栄えその保存に蔵が必要でした。 また、漆器業や蚕を飼う製絹業など地場産業に利用されました。
加えて、喜多方の町では 明治13年、170戸 約300棟を焼失する大火のあり、その際 多くの土蔵が残り土蔵の耐久性が実証されました。
明治の中頃には、喜多方にレンガ工場ができた為 レンガ積みの技術導入に熱心な人たちが全国でも珍しい煉瓦蔵を作りました。 尚、レンガの歴史等に興味のある方は、寺町の田中レンガ記念館を 訪れると良いと思います。
また喜多方地方には、棟梁・建具・左官・塗工の分野に創意工夫に富んだ名工がおり、斬新卓越な職人がいました。 それに加え、大地震・大水・台風などの天災が比較的少なく、また戦争の災禍もまぬがれた為、市内や農村に今でも蔵がたくさん残っています。
この地では昔から「男40にして蔵の一つも建てられないようでは男でない」とも言われ、蔵を建てることが生涯の夢とされました。
そのような土壌があった処へ 明治時代初期、それまで藩の圧力によって押さえつけられていた商人・旦那衆の欲求が開放され、金に糸目をつけない豪華な蔵造りの建物を建てました。 その代表として、甲斐本家の蔵座敷・大善の蔵座敷・若喜商店の縞柿の蔵座敷などがあります。 そういう意味で、会津若松市は武士の創った街、喜多方市は町人の創った街と言えます。
尚、市内では 小田付地区の南町周辺・小荒井地区のふれあい通り周辺や 駅近くの菅原町(塚原地区)に多くの蔵が点在しています。 郊外では、農村蔵の杉山地区・れんが蔵の三津谷地区など多くの蔵があります。 緑町の あべ食堂では蔵の中でラーメンが食べられます。 私の住む月見町では、「おすわさまの
おまつり」の3日朝には 町内の御旅所づくりの後で ラーメンを食べに行って かつ丼の上物でビールを飲むのが恒例の行事になっています。 |
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こてで描かれた芸術品 |
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喜多方の蔵には、幻の職人「壁金」が こてで描いた「こて絵」のある蔵があります |
この文章は、40年前に商工会議所青年部で 取材した情報をもとに 書いた記事です |
このページですが、以前は できるだけこて絵のある蔵の場所も公開していました。
昨今の観光事情により 公開を望まない所持者が増えてきましたので 全て匿名とします。 |
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喜多方には、現在2600棟以上の様々な用途の蔵があります。
蔵には、屋号や火事防止の願いの文字が書かれていることが多いのですが、絵が描かれている蔵は珍しく地元の人々にも あまり知られておりません。 この絵こそが、壁を塗るときに使う道具である”こて”で浮き彫りに描き出した為、こて絵と言われています。
黒や白、緑、青、赤などの原色で着色してあることが多く、絵柄では 花はボタン、樹木は松、動物は鶴や亀、龍や牛、馬、鷹などが多く見られます。 こて絵からは、よりよい生活を願う
当時の人々の生活感がうかがわれます。 尚、こて絵のある蔵は 明治27−34年頃に建てられたものが多いそうです。 作者は、幻の職人で「壁金」とか「金壁」の作品と言われています。
現在、残っている こて絵のある蔵も ほとんどが住居などに使われており観光客への開放を望んでおりません。 また、喜多方の農村部に点在しており それほど目立つ物ではありませんので、全部取材した時は1日以上かかりました。 そう言う意味でも 作者の存在と共に 幻の絵なのかも知れません。 |
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1.某氏宅(○○地区)
この地区は、北へ向かった山あいの小さな集落で、蔵が多く、その景観は落ちつぃたたたづまいをみせている。 ○○川の上流にあたり、何とも言えない静かな山村の景観の地区である。 蔵の北側にボタン、南の蛇腹の中央には松、両側に4羽の鶴がある。 また、この蔵は横文字のレリーフがある蔵としても有名である。
2.某氏宅(○○地区)
曲り家風の蔵の東西南北四面全部にこて絵がある。 東にはぼたん、西には鶴と亀、南には龍と鷹、そして北には欠落も脱色もない華麗な足に白を残した黒馬が躍っている。
3.某氏宅(○○地区)
目が鋭く、凄みと威圧感のある闘牛のような黒牛がある。 また、正面の壁には鶴と亀、上り龍の絵がある。
(注) ○○さん宅の黒馬、○○さん宅の黒牛 対比すると非常におもしろかった。
黒牛、黒馬は雨乞いを白い動物は晴天が続くようにという願いがこめられている。
4.某氏宅(○○地区)
ここのこて絵は蔵の壁でなく、室内の壁に描かれている為 非常に保存状態がよく 出会った瞬間 何とも言えない感動を覚えた。 鶴と上り龍が色あざやかに描かれていた。 |
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1.某氏宅(○○地区)
鶴と松の他に、東側の窓に雌と雄のチャボが描かれている。
2.○○商店宅(○○地区
店舗わきの蔵の入口の上に、松にとまる鷹の絵がある
3.某氏宅(○○地区)
東側の窓に鶴と亀が描かれている。 亀は現在の亀でなく 江戸時代の本に描かれているような絵柄である。
こて絵は、日光や雨・風・雪などにより かなり痛んでいる物も 多くみられた。 現在どうなっているかはわかりません。 明治時代に こてで壁に絵を描いたというのは すごい事なんだと思ったことは覚えています。
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